岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『人間性未来論』 中田豊一著  

2008-12-22 17:54:45 | 
竹林館 2007年発行 309p 2400円

これは、20日に、One World Festa で、ご本人から購入した本です。
何かひきつけられたように買いました。
中田さんは、25年以上に渡って、途上国援助を仕事とされてきた方です。
その方が、「人間性」(=人情に近い)について考え抜いた本です。
この本を書くきっかけは、家族でラオスに援助に行ったときに感じたことからだそうです。

それは中田さんの7歳のご子息が両親に話した内容でもありました。
「ラオスの子どもたちと遊ぶのは、とても楽しい。彼らはめったに怒らないし、
いらいらもしない。たまに誰かが腹を立てるようなことがあると、まわりの子が
おどけたりしてなだめてくれるので、直ぐに機嫌を直してまた遊び始める。
日本では、ゲームに負け続けたりして、すねたり怒ったりする子がいつもいて、
しかも誰もかまわないので、そのまま怒って帰ってしまう。
僕もそうなることがあった。でも、ラオスではそんな子はまだ見たことがない」

「ラオスの子どもたちのほうが、日本の子どもたちより絶対にやさしい。
あの子どもたちと日本の子どもたちは、心がどこか違う」

そして、中田さんは、
「私たち、いわゆる先進国の人間は、近代化とともに、かって誰もが持っていた
人間としてもっとも大切なものを失いつつあるのではないか」という根源的な疑問に
真正面から立ち向かわれた。
この『人間性未来論』 は、その精神探求の軌跡を綴られた本だと思います。

目次を紹介します。
第1章 原型共同体と人間性
第2章 心のセーフティネット
第3章 自己意識の不安定化と家族の危機
第4章 相互扶助と人間性の未来

現在、私は、第2章(94p)を読み始めています。
読了した時点で、再び書くことができればと思っています.

※写真はワンワールドフェスタに出展していたビッグイシューのスタッフとバックナンバー。

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2 コメント

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ラオスの子どもから教わること (bonn1979)
2008-12-23 06:31:12
いいお話ですね。
人は他の世界をみてはじめて己を見ることができますね。

日本の子どももいい経験をしましたね。

礼節の国だったと思われる鹿児島ですが
JRの駅で朝夕自分勝手の乗客をみています。

子ども達は塾通い。

中国からの留学生は
日本ではすでに失われた礼節が残り
感心しています。

「社会福祉」あるいは「社会」そのものの根底を考えさせられる貴記事でした。



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自己責任論 (岩清水)
2008-12-23 17:28:52
コメントありがとうございます。
私自身も、現代の日本人の典型だと思うことがあります。
ラオスの子供たちのように、周りの人に
かかわれません。
自分自身を守っているのかもしれません。
自己責任論に惑わされているのかもしれません。
社会福祉に関わっている人にも、私と同じような人が多いとも思います。
この課題はとても深いものではないでしょうか。
しかし避けては通れないことも確かですね。

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