岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

サッカーの高揚で、手元の本に身が入らない。

2010-06-26 02:24:35 | スポーツ(身体に魅せられて)


手元に、とても魅力的な書籍があって、読んではいるのですが、著者には失礼なことに
なっています。集中できないのですね。
書籍は、
『福祉社会学宣言』 福田義也著 岩波書店
すばらしい本です。コメント書きたいのですが...。

もう1冊は
『ハンナ・リデルと回春病院』 猪飼隆明著 熊本出版文化会館
日本のハンセン病患者救済に生涯をささげた英国人宣教師ハンナ・リデルの出自の
精緻な調査が圧巻です。19世紀中葉のロンドン英国の姿が目に浮かびます。


がしかし、しばらくはワールドカップサッカーです。

スポーツの世界、いや森羅万象にいえるですが、「もしも」ということを考え出せばきりがありません。

もし、「日本代表が直前試合に連勝していたら」
今のチームワークがあったのか。

「カメルーン戦で本田選手のシュートが枠を外していたら」
「デンマーク戦で遠藤選手のPKが外れていたら」

ふたつの戦いはまったく違う展開を見せていたでしょう。
いや、この例に限らず、サッカーは「決定的な一瞬」に溢れているスポーツといえます。

これは、どのスポーツにも共通というわけではありません。
なぜ、サッカーに「決定的な一瞬」=劇的瞬間があるか。

第一に「点が入らないスポーツ」だからです。
どのような展開であれ、1点を取ってしまえば圧倒的に優位に立てるというのは、
ワールドカップのデータであきらかになっています。
先取点の重要性です。
ここに偶然性の要素が凝縮されます。

これは、多点が普通のスポーツ、例えばアメラグやバスケットなどと決定的な違いです。
これらのスポーツは試合の最終盤にクライマックスがやってきます。
もちろん接戦になった場合ですが。

サッカーの場合は、先取点を取るということが最重要な課題です。
どのようなかたちであっても1点とればいいのですから、その瞬間がいつ現れるか
だれにも予測できません。
サッカーでは、ゲーム中にトイレにいくわけにはいきません。
45分間、集中を要求されるのは観客も同じです。
決定的瞬間を見逃すことは許されることではないのです。

そして、1点がどちらが取るかで、選手、監督そしてサポーターの雰囲気ががらりと変わります。
これは現場でもテレビ観戦でも変わりません。

刻々と変わる精神状態が、カタルシスと失望の間で大きく揺れる。
そのような体験ができるスポーツです。

予想を超えるカタルシスと失望が、スポーツの枠を超え、社会現象になるということも
このスポーツ特有の現象といってよいでしょう。

ワールドカップは4年に一度。
サッカーは国技という国ばかり。
選ばれた国同士の真剣勝負。
国民性とチーム特色の繋がり。
世界の地域による実力の接近。


リーグ戦とトーナメント戦の融合。
必然と偶然。
歓喜と落胆。
勝者の自制したことば。敗者のみが話せることば。
成長と衰退。

単純に、勝者と敗者が決まるのではなく、私たちの頭では処理できない無尽蔵の情報や感情が
この1カ月余りで蓄積されるのです。

2010年ワールドカップサッカーはようやくグループリーグ戦を終わり、
決勝トーナメント戦へと進んて行きます。

私たちは新たなカタルシスに遭遇できるのか。
29日が待たれます。




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4 コメント

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日本社会の反映 (bonn1979)
2010-06-26 10:59:05
サッカーが
何故面白いか?

について
この記事を読んで
そのわけがはっきりしてきました。

私は
ルールなど知らないで
日本戦をみたのですが
他の国との大きな違いは
「まとまり」
ということでした。

海外論調なども
そういう評価があったようです。

個々の選手をみると
日本人の典型よりは
かなり個性が強いようですが
チームとしては独特。

かりに
もう1回とか2回勝つようなことがあれば
大相撲の醜態を払拭する
明るいニュースになりますね。

それどころか
勝ち進めば
時節柄
政権与党に有利な選挙結果になるとも・・

そうなると
「パンとサーカス」ですね。
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国民的熱狂は与党に有利? (岩清水)
2010-06-26 20:18:34
bonn1979先生
コメントありがとうございます。

国民的熱狂は選挙戦に低迷に繋がる。
そうですね。
ベスト4まで行けばその可能性がないとはいえません。
冷静な判断ができない状態になるかもしれません。

確かに昨年のWBC優勝と比してもワールドカップのカタルシスは特別です。

数パーセントの人の投票行動は変わるかもしれません。
その数パーセントが選挙結果に大きな影響がないとはいえません。
サッカーの後半ロスタイム分ぐらいの価値があるとしたら、
それは大きいですね。

こちらも社会学的に興味深いです。
返信する
たしか、リデル・ライト? (つきの)
2010-06-29 23:16:41
資料が見つからないのでさだかではありませんが。

たしか、昨年熊本の社会福祉士会の全国大会の分科会にて、リデルとライトの活動の発表を感動しながら聴いた記憶があります。イギリス人でしたっけ? 

再び熊本へ行く際は、記念館も訪れたいと思いました。

全国大会は、熊本ならではのテーマ満載で、充実した大会でした。
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熊本大会 (岩清水)
2010-06-30 10:47:57
つきのさん
コメントありがとうございます。
熊本大会は参加できませんでしたが、
ぜひ聞きたい内容だったようですね。

リデルもライトも英国国教会(聖公会)の
宣教師ですね。
当時は米国からの宣教師が多かったので、すこし珍しかったかもしれません。
上記の本は、とても興味深かったですね。
お勧めです。
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