訳者の山田美明さんの訳者あとがきから
著者はこの述べている。
「私は特にゴッホが好きというわけでもなかった。でも調査をすすめるなかで、
その手紙を読み、精神の病と格闘していた彼のことを考えているうちに、
ゴッホのことを好きになっていた」。
私も本書を読んでゴッホに親近感を抱き、特にアルル時代の作品には深い愛着を
感じるようになった。
やはり人物がわかると、その絵の見方も変わるものなのだ。
解説は、精神科医の斎藤環さん。
本書の著者バーナーデッド・マーフィーは、イギリスの作家で、本書がデビュー作である。
南フランスへ移住して職を転々とするが、暇をもてあますうちにゴッホの「耳切り事件」の謎に見せられ、
調査を開始した。
ネットを駆使し、膨大な資料や公文書にあたり、ゴッホと同時代にアルルに住んでいた、
実に1万5000人以上の人々の詳細なデータベースを構築した。
この下準備が、後の調査においては大いに役立つことになる。
もちろん、斎藤さんは精神科医ですから、精神医学的な解説をされています。
それはネタバレを含みますので本書を読んでのお楽しみということに。
※当時の天然痘や狂犬病の怖さ。そしてワクチンの開発も書かれており19世紀に急激にウイルス対策が進んでいたことを知りました。
パスツール研究所も出てきます。
お読みいただきありがとうございました。