『ありふれた教室』はその結末に向けて疾走します。
見出し画像はチラシの裏面です。
上部にオスカーが腕を交差して見下ろします。
中下部にノヴァック先生が顎に手を据えて見つめます。
さらに下部に5コマのカットが入ります。
左から
盗撮した動画を観る3人(校長、ノヴァック先生、クーンさん)
ノヴァック先生
ありふれた教室の風景
パソコンを抱えて逃げるオスカー※
男性教員二人
オモテ面では、チラシではあまり見たことにないような顔のアップ
コピーが小さく
先生(わたし)、おかしい?
これは誰に向かっての言葉なのでしょうか。
もちろん、映画を見ている人々に向けられた言葉でしょうが、映画の中ではオスカーに向けられたようにも思います。
それが裏面の構図になっているという深読みをしました。
逃げ口がないような息が詰まるような終章で、ノヴァック先生は生徒たちの一緒にマックスバリュー(ボリューム)の叫び声を上げます。
息を殺して映画を観ていた私たちの息も放たれます。なにかすっきりしました。
※逃げるオスカーはすべてはこのパソコンが悪いんだとかっさらって逃げます。追うノヴァック先生、見事な疾走です。
追いつかれたオスカーはとっさにパソコンを川の中に放り投げます。
すべてはなかったことにしたかった。母親を助けようと…
ノヴァック先生の目じりにはパソコンが当たった傷が残りました(オスカーが振り回したパソコンに)。
「その傷は?」と同僚に聞かれても話すことはありませんでした。心の傷のように…
ラストはノヴァック先生とオスカーが二人だけで教室で並んで座っています。
校長は締め出されました。
オスカーがポケットからとりだしたのは、ルービックキューブ。
ノヴァック先生からチャレンジしてみては、と手渡されたものです。
みごとに完成します。
最後のカットはここでは触れません。
当然ながら放談会では数多くの意見が交わされました。
チラシのコピーは
観る者の倫理観が試される、破格の映画体験ー驚愕のラスト、あなたは何を見出すのか?
なのでとても書くわけにはいきません。
最後にオマケと言っては何ですが、ノヴァック先生(レオニー・ベネシュさん)の身体性については、衣服に包まれていながらも広背筋の素晴らしさなど目を見張りました。この映画の役に必要でしょう、相当なアスリートです。
私はそのピンとした背筋に意志の強さを感じてしまいました。
他にも見どころはいっぱいあると思います。
見逃しています。
言い淀んでもいます。
ぜひご覧ください。
このような機会がなければ見逃していた映画です。
想田和弘監督、シネマクレールの皆さん、本当にありがとうございました。
また観させていただきます。
読みいただいた皆様、ありがとうございました。