山崎監督は岡山に移住し農業を営み続けながら映画を創ってきた方です。
第3作となります。
初めて16mmフィルムで撮影した作品になります。
作家が自らのツールを通じてオリジナリティを獲得していくのは画家をみればよくわかります。
今のデジタル技術の進化は目を見張ります。一方フィルムにこだわる監督も少数ながらいます。
フィルムだから安価にできるということではありません。
希少になったカメラやフィルムを使用することはかえって費用がかかります。
精緻なデジタル画面に慣れた目にはびっくりするほど粗い映像です。
その粗い映像が映画のテーマを表現することに適しているという判断なしでは使用するはずがありません。
前置きが長くなりました。
ストーリーをチラシから転載させていただきます。
かつては韓国の乗馬界のホープだったチャンスは、父親の会社の倒産で多額の負債を負って真庭市に流れ着き、今はヴェトナム人労働者たちとともに採石場で働いている。一方、刑事の父と二人暮らしの女子高生・山吹は、交差点でひとりサイレントスタンディングを始める。二人とその周囲の人々の運命は、本人たちの知らぬ間に静かに交錯し始める。
現代世界の縮図を岡山県北の風景の中に生きる人々の中に見ていく。
登場人物が意図せぬつながりに翻弄されながらも生きていく。
チラシには、
資本主義と家父長制社会に潜む悲劇と、その果てにある希望
地方に生きる人々の慎ましい抵抗を国際的な視座で描く
その意図は映画を見終わった後じわじわと迫ってくる。
主人公の一人、女子高生がベールをかぶって砂漠に消えるシーンは
まさに閉じられた家父長社会の悲劇を象徴している。
16mmフィルム撮影がキャスト、スタッフに緊張感と集中力を持たせたに違いない。
カンヌでの評価を期待したい。
お読みいただきありがとうございました。
ウクライナを救え!戦争をするな!