岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

認知症の人と美的感覚。

2009-11-01 18:27:49 | ケアラーのために
父親は認知症を発症していることはこのブログでもたびたび書いています。
実際に身近で接していると、資料や講演で見聞した症状が現出するとは限らないと感じています。
また、あまり考察されていないこともあるのではと思います。
予想以上に症状が個性的だと思います。

例えば美についてです。
私は美的な感覚を人間はいつ獲得したのだろうとよく考えます。
それは人類が誕生する前からか同時か。
それともかなり後からか。

すなわち美的感覚は人間の根源的な欠くべからざる感覚なのかどうかに関心がありました。

最近、父親がテレビを観ながら同じことを繰り返します。
それは、酒井のり子さんが裁判所に向かうシーンを観ると、「きれいな人じゃなー」。
父は記憶の蓄積がないため、酒井さんが被告になっているということも知りません。
タレントとしてのキャリアも頭に入っていません。
公判の日、彼女は何度もテレビ画面に登場しました。
その度に彼女を初めて観たように「きれいな人じゃなー」と繰り返します。

人の美的感覚は人さまざまではありません。
共通基準があります。
ある程度のブレは必要不可欠ですが。

その共通基準を父親はいまだ保持できています。

また、男性の場合も理解できています。
前原大臣がテレビに映ると「男前じゃなー」と。
繰り返しています。

明らかに美的判断ができています。

短期記憶や見当識、嗅覚などが衰えても、この判断ができることはどのようなことなのか。
これからも見守っていきたいと思います。

※今日は奈良・法隆寺に行きました。また報告します。
写真は奈良公園。前回訪問時の写真です。


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