ハンセン病を学んでいて、ジェンダーの視点で考察した論文がないか、探している。
岡山県立図書館にある開架式の書棚では見つけることができなかった。
そこで、気になる上記の書籍を借りた。
この書籍の特徴は、「はじめに」に書かれている。
「本書は、日本近代国家の成立と展開のありように、ジェンダーがどのようにかかわり、
いかなる相互作用を及ぼしたかについて、それぞれの論者が多様なアプローチを試みたものである」
そして、「いわゆる『天下国家』論に、ジェンダーやセクシュアリティが参入することはほとんど考えられないことであった」。
「私たちは、本書において、日本近代におけるジェンダー構築の諸相を分析し、日本近代の新たな歴史像を提示したいと願っている」。
実に壮大なテーマである。
いずれの章も興味深いのだけれど、
特に、第3章 看護職と国家―ロックフェラー財団による戦間期公衆衛生事業の考察・・・・・・高橋 彩
が、興味深い。19世紀から20世紀初頭の公衆衛生の思想が、伝染病の隔離(らい病も含む)の指針となり、
看護職が現場での推進役になっていった。医師もその意味では同じなのだが、
ジェンダーの視点からは「看護職は国家に何を求められ、何を実行したのか、何をしなかったのか」を知る必要がある。
p.219の文章を引用したい。
私が探した中で唯一、ハンセン病の記述がある部分だ。
日本におけるパブリック・ヘルスの概念は、明治維新以降、さまざまな人々によって紹介されるが、
実際には、19世紀末、コレラや天然痘など、伝染病の防疫対策として特徴的に現れる。
いわゆる「公衆衛生」は、当初国民の健康推進や保護よりむしろ「衛生」を徹底する政策として行われ、
警察を中心とする民衆の衛生状態の監視や、病人の隔離・取締りに焦点が当てられる。
この時代の「抑圧的」公衆衛生政策の特徴は、福田眞人の近代伝染病政策研究や
ウイリアム・ジョンストンの日本における結核の社会史的研究、さらに、様々な研究者による
らい病患者や売娼と性感染症に関する研究でも明らかにされている。
ハンセン病についてのジェンダー研究の文章はまだ見つけていないが、ハンセン病に関与した女性としての
看護婦の役割も見落としてならないと思われる。
ハンセン病隔離における警察の役割、そして医師や看護婦の役割、そして「公衆衛生思想」。
このことも学ばなくてはならない。
岡山県立図書館にある開架式の書棚では見つけることができなかった。
そこで、気になる上記の書籍を借りた。
この書籍の特徴は、「はじめに」に書かれている。
「本書は、日本近代国家の成立と展開のありように、ジェンダーがどのようにかかわり、
いかなる相互作用を及ぼしたかについて、それぞれの論者が多様なアプローチを試みたものである」
そして、「いわゆる『天下国家』論に、ジェンダーやセクシュアリティが参入することはほとんど考えられないことであった」。
「私たちは、本書において、日本近代におけるジェンダー構築の諸相を分析し、日本近代の新たな歴史像を提示したいと願っている」。
実に壮大なテーマである。
いずれの章も興味深いのだけれど、
特に、第3章 看護職と国家―ロックフェラー財団による戦間期公衆衛生事業の考察・・・・・・高橋 彩
が、興味深い。19世紀から20世紀初頭の公衆衛生の思想が、伝染病の隔離(らい病も含む)の指針となり、
看護職が現場での推進役になっていった。医師もその意味では同じなのだが、
ジェンダーの視点からは「看護職は国家に何を求められ、何を実行したのか、何をしなかったのか」を知る必要がある。
p.219の文章を引用したい。
私が探した中で唯一、ハンセン病の記述がある部分だ。
日本におけるパブリック・ヘルスの概念は、明治維新以降、さまざまな人々によって紹介されるが、
実際には、19世紀末、コレラや天然痘など、伝染病の防疫対策として特徴的に現れる。
いわゆる「公衆衛生」は、当初国民の健康推進や保護よりむしろ「衛生」を徹底する政策として行われ、
警察を中心とする民衆の衛生状態の監視や、病人の隔離・取締りに焦点が当てられる。
この時代の「抑圧的」公衆衛生政策の特徴は、福田眞人の近代伝染病政策研究や
ウイリアム・ジョンストンの日本における結核の社会史的研究、さらに、様々な研究者による
らい病患者や売娼と性感染症に関する研究でも明らかにされている。
ハンセン病についてのジェンダー研究の文章はまだ見つけていないが、ハンセン病に関与した女性としての
看護婦の役割も見落としてならないと思われる。
ハンセン病隔離における警察の役割、そして医師や看護婦の役割、そして「公衆衛生思想」。
このことも学ばなくてはならない。