「鹿児島で探る社会福祉学」さん(マイブックマークにあります)が、
注目している論文ということで、
「改正介護保険法と日本の介護保障」ー国際比較の視点で
考えるー「自治総研2006年11月号」斉藤弥生
を知人の好意で入手しました。
昨日、読んでいました。
大変示唆に富んだ内容です。
私自身は、現場からの視点というミクロ的なとらえ方以上のものは
できないのですが、
斉藤論文は「日本の国際比較の中で介護保険はどうなのか」。
「介護保険と介護保障」という視点で論じられており、
まさに研究者ならではの仕事と感服しました。
この論文には、ぜひ海外社会保障の専門家「鹿児島で探る社会福祉学」さん
からのコメントをいただきたいと思います。
では、斉藤論文の「はじめに」から、
介護保険制度創設、そもそもの目的の再確認からです。
厚生労働省のHPに掲載されてる「介護保険制度Q&A」の中からの
引用です。
Q.いま、なぜ介護保険が必要なのですか。
A.
1.介護問題は国民の老後生活最大の不安要因になっていること。
2.医療と福祉が縦割りの制度になっていてサービスが自由に
選択できずに、負担に不公平感も生じ、社会的入院が増えるなど、
医療が不適切に利用されていること。
3.急速に増加する介護費用への対応として、介護費用を国民全体で
公平に賄う仕組みが求められていること。
※この引用を読んでの感想。
Q&Aの法則というのもがあると私は思っている。
特に官庁の回答は,順番が後の回答に本意があるということ。
この場合は、3である。「介護費用を国民全体で公平に賄う仕組み」を
作りたい。そのための財源確保が、社会保険としての介護保険の
創設の目的だったということ。
しかし、この目的がこの7年で果たされたのか。
確かに、介護保険料の徴収という意味では成功している。
しかし、介護給付が公平に行われているのか。
この論文ではいくつかの問題(根本的)に言及している。
特に、4章、「同居家族と介護サービス」は、現場に係わるものとして、
日々悩まされてることである。
この問題は、おいおい細かく書いていくことができればと思う。
さて、現在の厚生労働省のHPのQ&Aはどうなっているだろうかと
観てみると、創設当時のままだった。
介護保険制度が動き出して8年目である。その間、創設当時の目的が
そのままであることには違和感はないのだろうか。
私には違和感がある、制度には、目的があり、計画があり、評価がある。
そして再び目的をつくらなければならない。
それが、「介護保険2005年改正」ではなかったか。
(同じ目的を掲げ続けるということは、まだ成果に繋がっていないと
考えるべきだろう)
引用に戻ります。
厚生労働省のHPのQ&Aの続き。
「介護保険制度の創設によってなにがどう良くなりますか」
1.老人福祉と老人医療を再編し、利用しやすく公平で効率的な
社会的支援システムを構築できる。
2.自らの選択に基づいたサービスの利用が可能になる。
3.福祉と医療の総合的、一体的な提供が可能になる。
4.民間事業者の参入により、効率的で良質なサービスの提供が
期待できる。
5.社会的入院の是正により、医療費の無駄が解消される。
※このような厚生労働省「創設時の目的とその利点」を、今の時点で
読むことは大きな意味があると思う。
今の私の感覚は「迷走をはじめた介護保険制度」である。
であるからには、やはり原点に帰って考えることが不可欠であり、
新たな視点をつくる必要があると思う。
引用:
「介護保険制度も開始から、すでに7年目に入った。
設立当初の目的は達成されたのだろうか。また期待された効果もみられた
のだろうか。本来は制度改正の前に、評価が行われ、それをもとに、
なされるべき議論であったように思う。」
※官庁の最大の問題点は、自らの評価分析を明解にしないことである。
もちろん、「介護保険2005年改正」も、6年間の反省が込められて
いるが、それはとても明解といえるものではない。
そして、反省の対象は、民間事業者であり、市町村であることが多い。
どうして、ある程度客観的な(自らに都合の悪いことも含めて)評価が
できないか。この問題をテーマにするということも、とても魅力的だが
この文章の趣旨ではないので課題にしよう。
さて斉藤論文も最初の1ページでこの長さになった。
しかし重要なことである。
2ページ目以降も、書かせていただきたいと思う。
注目している論文ということで、
「改正介護保険法と日本の介護保障」ー国際比較の視点で
考えるー「自治総研2006年11月号」斉藤弥生
を知人の好意で入手しました。
昨日、読んでいました。
大変示唆に富んだ内容です。
私自身は、現場からの視点というミクロ的なとらえ方以上のものは
できないのですが、
斉藤論文は「日本の国際比較の中で介護保険はどうなのか」。
「介護保険と介護保障」という視点で論じられており、
まさに研究者ならではの仕事と感服しました。
この論文には、ぜひ海外社会保障の専門家「鹿児島で探る社会福祉学」さん
からのコメントをいただきたいと思います。
では、斉藤論文の「はじめに」から、
介護保険制度創設、そもそもの目的の再確認からです。
厚生労働省のHPに掲載されてる「介護保険制度Q&A」の中からの
引用です。
Q.いま、なぜ介護保険が必要なのですか。
A.
1.介護問題は国民の老後生活最大の不安要因になっていること。
2.医療と福祉が縦割りの制度になっていてサービスが自由に
選択できずに、負担に不公平感も生じ、社会的入院が増えるなど、
医療が不適切に利用されていること。
3.急速に増加する介護費用への対応として、介護費用を国民全体で
公平に賄う仕組みが求められていること。
※この引用を読んでの感想。
Q&Aの法則というのもがあると私は思っている。
特に官庁の回答は,順番が後の回答に本意があるということ。
この場合は、3である。「介護費用を国民全体で公平に賄う仕組み」を
作りたい。そのための財源確保が、社会保険としての介護保険の
創設の目的だったということ。
しかし、この目的がこの7年で果たされたのか。
確かに、介護保険料の徴収という意味では成功している。
しかし、介護給付が公平に行われているのか。
この論文ではいくつかの問題(根本的)に言及している。
特に、4章、「同居家族と介護サービス」は、現場に係わるものとして、
日々悩まされてることである。
この問題は、おいおい細かく書いていくことができればと思う。
さて、現在の厚生労働省のHPのQ&Aはどうなっているだろうかと
観てみると、創設当時のままだった。
介護保険制度が動き出して8年目である。その間、創設当時の目的が
そのままであることには違和感はないのだろうか。
私には違和感がある、制度には、目的があり、計画があり、評価がある。
そして再び目的をつくらなければならない。
それが、「介護保険2005年改正」ではなかったか。
(同じ目的を掲げ続けるということは、まだ成果に繋がっていないと
考えるべきだろう)
引用に戻ります。
厚生労働省のHPのQ&Aの続き。
「介護保険制度の創設によってなにがどう良くなりますか」
1.老人福祉と老人医療を再編し、利用しやすく公平で効率的な
社会的支援システムを構築できる。
2.自らの選択に基づいたサービスの利用が可能になる。
3.福祉と医療の総合的、一体的な提供が可能になる。
4.民間事業者の参入により、効率的で良質なサービスの提供が
期待できる。
5.社会的入院の是正により、医療費の無駄が解消される。
※このような厚生労働省「創設時の目的とその利点」を、今の時点で
読むことは大きな意味があると思う。
今の私の感覚は「迷走をはじめた介護保険制度」である。
であるからには、やはり原点に帰って考えることが不可欠であり、
新たな視点をつくる必要があると思う。
引用:
「介護保険制度も開始から、すでに7年目に入った。
設立当初の目的は達成されたのだろうか。また期待された効果もみられた
のだろうか。本来は制度改正の前に、評価が行われ、それをもとに、
なされるべき議論であったように思う。」
※官庁の最大の問題点は、自らの評価分析を明解にしないことである。
もちろん、「介護保険2005年改正」も、6年間の反省が込められて
いるが、それはとても明解といえるものではない。
そして、反省の対象は、民間事業者であり、市町村であることが多い。
どうして、ある程度客観的な(自らに都合の悪いことも含めて)評価が
できないか。この問題をテーマにするということも、とても魅力的だが
この文章の趣旨ではないので課題にしよう。
さて斉藤論文も最初の1ページでこの長さになった。
しかし重要なことである。
2ページ目以降も、書かせていただきたいと思う。