岡山での上映が本日最終日ということで観に行きました。
75歳の桃子さん(田中裕子さん)が一人で生きていく姿をコミカルにシリアスに描いた作品です。
このような映画が創れるのは、日本映画界の伝統芸があってこそ思いました。
沖田修一さんが脚本と監督を務めています。
まだ40歳過ぎでしょうが、相当の手練手管をお持ちのように思います。
どこにでもある風景、郊外の町の一角ある築後40年程度の疲れた一戸建ての住居に桃子さんは一人で住んでいます。
岩手から一人上京し飲食店に住み込みで働いてきました。
そして、お客さんを好きになり結婚して二人の子を育てました。
すでに独立しています。
夫(東出昌大さん)は他界し、桃子さんは大きな家を持て余しています。
日々の過ごし方は病院通いと図書館で本を借りて読む程度でしょうか。
知り合いの図書館の職員は、なにか趣味をもったらいいといろいろ進めるのですが「うん」とは言わない桃子さん。
移動に必要なのが軽自動車です。
新しく月レンタルの新車に切り替えるように若い男性販売員から勧められます。
しかし百戸さんは詐欺に遭ったこともあり少し心配になるシーンでした。
そのような平凡な日々を、妄想のような世界が取り囲みはじめます。
まず、男3人の「座敷わらし」が桃子さんの周りに現れ、どこにでもついてきます。
とても芸達者で、十分楽しめました。
妄想から追想へと場面が変わります。
桃子さんの20代を演じるのが、蒼井優さん。
相変わらず演技がすばらしいです。
このような青春時代を挿入することが大きな意味があると思います。
高齢者にとっては時空を超えるのはたやすいことなのですから。
桃子さん夫婦は愛情深かったことがわかります。
でも、愛はお互いを束縛します。
一人になった桃子さんは、「おらおらでひとりぐも」の心境に至ります。
私は映画手法的にもレベルの高い映画だと思いました。
映像や構成もよかったです。
お読みいただきありがとうございました。