北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

歳を取ったら ~ 氷割りでの会話

2014-03-01 22:20:46 | Weblog

 この一週間は冬としては暖かい日が続き、家の前で除雪した残りの氷もずいぶん緩みました。

 雪国に住む者の性として、少しでも春が来てほしいというので暖かくなるとつい氷割りをしてしまいます。

 家の前で剣先スコップを持ち出してコツコツとやっていると、お向かいのおじさんが出てきて、「ご苦労様です」と声をかけてくれました。

「随分暖かくてつい氷割りを始めてしまいました。でもとてもこれで冬が終わるとは思えませんよね」
「そりゃあそうですよ。まだまだ雪は覚悟しなくちゃね」

 この暖気で近くの道路も、普段から雪をどけておらず雪が厚く残っていたところでは雪の締りが緩んでしまってザクザクになり、車が埋まりそうになります。

「道路も普段からちゃんと雪をどけておくとよいのですが、そうしない家も多いですもんね」

 私の家の前の道路は、面している住人が雪が降れば除雪者など来る前に皆一生懸命に雪をどけるので、普段からとてもきれいにされていて暖気が来ても緩むほどの雪が残っていません。

「いや、私もね、昔市役所に勤めていたせいか真面目にやらなきゃ、と思うんです。もうこれができなくなったらもうここもおさらばしないといかん、と思っております」
「寂しいことを簡単に言わないでくださいよ。まだまだお元気でいてもらわないといけません」

 お向かいのおじさんは、昨年奥様を亡くされて今は独り暮らし。昨年の大雪の時に、(もうこれは施設に入らないといけないかなあ)と半分はこの家を去る覚悟をしたそうです。

「家は一人で住むと小さいようで結構大きいもんです。それに壁塗りだ屋根の塗り替えだなどと、結構物入りなもので一人で維持するというのは大変なんですよ」
「分かります。収納場所を取ったつもりでいたのですが、結局使いもしないものを貯め込むだけになりがちで…」
「そうそう(笑)普段から身辺整理をしておかくちゃいけませんな」


 おじさんは数年前に内地にあるお母様の家を処分したのだそう。

「なかなか売れなくて苦労しましたよ。家財道具もなんだかんだで多くてね」
「服や家具なんかは捨てられたのですか」

「着物をだいぶ持っていたものですからどこかへ寄付でもしようかと思ったんですが、最近はああいうものは喜ばれないんですね。結局処分したんですが、それでもタンスなんかは引き出しをあけて中を確認せにゃいけません」

「もう、えいっとばかりに中身ごと見ないで捨てるのではだめですか?」
「それがね、年寄りってえのはタンスの引き出しとかとかとんでもないところにお金を隠していることがあるんです。私も着物を整理していてそういうのを見つけたことがありました。だから仇おろそかにはできないんですよ(笑)」


 なるほど、確かに女性のヘソクリなんかは思わぬところに隠すものなのでしょう。しかし「ここにヘソクリを隠してあるから」と書き記したのではヘソクリになりませんね。これは笑い話です。

「でも貯金でも保険でも、どこにどんなのがあるというリストくらいは作って整理しておかなくちゃと思い始めました。あとはやるだけなんですがね(笑)」

 私の住む家がある一画は昭和30年代前半にリンゴ畑を住宅地に替えたところらしく、そのころに住み始めた皆さんはみな高齢化してだんだんに住人が代替わりしはじめています。

 せっかく仲良くなった地域の人たちがいなくなってゆくのは寂しいものですが、決して他人ごとではなく、自分自身の近未来として学べることを学び、実践してゆかなくてはいけませんね。

 まずはタンスの中はよ~く見ておかなくては(笑)

 

 

 

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