職場の同僚が、「安い電動ヒゲ剃り器を買ったら、消耗品の替え刃が結構高くて、買おうかどうしようか迷っている」と話していました。
「本体がそれほど高くはないので、替え刃だけ買うか、それとも新しい本体ごと買うかでも迷っている」とのこと。
そういう迷い方もあるのか、と思いましたが、良く考えると似たようなことが私にもありました。
それはもうずいぶん昔ですが、街を歩いていたらある外国メーカーの髭剃りの本体が無料で配られていたのです。
そのときは本体は買えば5百円くらいはするはず、と思って喜んで受け取りしばらく使っていましたが、やがて刃がダメになると替え刃を買わなくてはなりません。
替え刃は二枚刃で確かに切れ味は良いのですが、買えば10個入りで千五百円くらいで結構な出費です。
つまりは、本体をタダで配ってもそれを使うことで消耗品を買い続けることでちゃんとビジネスになるというやり方。
まあすっかり当時はすっかりその手に乗ってしまいました。
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似たようなところでは、パソコンのプリンターなどもそうです。
最近はプリンターの本体価格がどんどん安くなって買いやすくなっていますが、結局は消耗品のインクカートリッジを買わなくてはならず、そこでちゃんと儲かっているというわけです。
賢い利用者は、インクが無くなったら純正ではないけれど安い交換インクを買って、カートリッジにインクを入れて再利用しようとします。
ところがカートリッジにはICチップが二個入っていて、一つはインクの残量や印刷枚数を計り、もう一つは空になったことを判断するセンサーになっています。
一度空になるとこのチップが働いて"空のカートリッジ"と判断されますが、こうなるとただインクを入れただけでは空であるという判断が変わりません。
そこで今度はそのために空のICチップを書き換える道具というのも売り出されています。
百円ショップにもあるそうですが、純正品で儲けたいメーカーと少しでも安く済ませたい消費者ニーズを捕えた隙間商法との熾烈な戦いが見て取れます。
消費者心理が実によく考えられていますね。
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ちょっと話は変わりますが、テレビを見ていると健康食品を一か月分タダで差し上げます、などというコマーシャルを見かけますが、ただでプレゼントしてもそのうちの何割かはリピーターになり買ってくれるようになるというデータがあるのでしょう。
消費者心理は随分奥まで読まれていて、それがビジネスを成立させる根拠になっているとはさすがです。
買い物を巡る消費者心理って、勉強すると面白い世界かもしれません。