道の駅に詳しい知人のAさんがやってきて、「良い道の駅」と「困った道の駅」があるという話題になりました。
今や全道で百カ所を超える数となった道の駅ですが、スタート時はわずかに11カ所から。
私も最初の道の駅事業が始まった時に担当していたので、この話題は興味津々です。
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【道の駅摩周温泉 写真は本文と関係ありません】
「道の駅をたくさん見ていると、うまくいっている良いところと困ったところが分かるのですか?」と訊くと、「ただお客さんとして見るだけでもある程度は分かりますが、役場や首長さんの話を聞くとなお一層よく分かります」
「しかしそもそも"うまくいっているとはどういうことですか?」
するとAさんは、「マネジメントですね。大抵は道の駅に駅長と呼ばれたりして責任者の方がいますが、道の駅全体をその方があるべき方向を見定めて経営できているかどうか、そこがポイントです」と言います。
「例えば地場の野菜の産直販売などを売りにしている道の駅なんてどうですか?」
「ええ、道の駅の産直市場はよくありますが、それも上手くいっているところと上手くいっていないところがあります。上手くいっているというのは、道の駅が直営で経営しているところです。直営であればどこからどんな品を持ってくるかを決めることができます」
「ふむふむ」
「そうでない代表がテナント方式です。もちろんテナント方式が全てダメとは言いませんが、道の駅側が『どうかテナントとして協力してください』などとお願いして入ってもらったようなところでは、駅がテナントに頭があがらなくなったりします。おまけにテナント方式だと、仮に大いに売れたとしてもテナント料を多くはもらえず、"テナントのための道の駅"になってしまい、単なるテナントのためのトイレの維持管理か、と思うようなことにもなってしまいかねません」
「なるほど」
「だから、思うように自分の責任で場をコントロールできているかどうかがカギになるんです。うまくいっている道の駅では、首長→役場職員→現場のマネージャー→地域の住民という登場人物たちの連携が実に良いのですが、どこか一つの要素が欠けてもうまくいかないんです」
「道の駅でありながら、地域との連携とか関係性も大事ですか?」
「もちろんです。『今はここの花が見頃です』なんていう情報は地域の人たちと連携が取れていなくては入ってきませんよ。それを道の駅だけが勝手に情報収集して頑張っていても、また地域の中で浮いてしまったりしますしね。これらのステークホルダーが協力し合ってそれぞれの役割を果たし合っているところがうまくいく最大のコツですよ」
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Aさんはまた、商店街とショッピングセンターの違いにも言及してくれました。
ショッピングセンターはテナント方式にせよ、どの位置にどの店を配置するかをセンター側が管理してマネジメントを行います。
特別セールとなると、各店に「チラシに書けるような半額の品を必ず一品は出すこと」というようなコントロールもできます。
方や商店街になると、個店の集まりだけにそれらを統括することがどうしても難しくなります。逆に言うと、商店街でも店構えや空き店舗の入居などをエリアで統括できているようなところは復活の兆しもあるのだとか。
道の駅も商店街もカギとなるのは、マネジメントというわけですね。
さて、春になるとまた道の駅スタンプラリーの季節です。
道の駅を回って、うまくいっているところを観察してみるのも面白いかもしれませんね。