急に更科(さらしな)蕎麦が食べたくなり、近くの更科の蕎麦屋さんで粉を買ってきました。
普段は田舎蕎麦を美味しいと思っているのですが、たまにはただツルンとした更科蕎麦も良いものです。
更科蕎麦もそば粉は蕎麦の実を挽いてつくるのは同じなのですが、蕎麦の実を挽いた時の取れ方が違います。
蕎麦の実は臼や機械で挽くときは一度に細かくならないので何度も篩(ふるい)にかけていきます。
この過程で細かくなった粉は取り出して、まだ割れていない残りは又機械にかけるということを繰り返します。
そうやって何度か挽く度に出てくる粉を、花粉(はなこ)、一番粉(さらしな粉)、二番粉、三番粉…、という風に呼びますが、最初の粉は色が白くてまったく粘り気がなく繋がりにくく、二番粉、三番粉になってくるとお馴染みの緑色が濃くなってきて田舎蕎麦風の粉が取れてくるのです。
そんなわけで、この一番粉と呼ばれる粉を使って打つのが更科蕎麦なのですが、これを打つのは実に難しい。
田舎蕎麦は重量比43%ほどの水を入れれば比較的簡単に繋がってくれますが、更科粉では必要な水分量も違うし熱湯を使ったりつなぎ粉を入れるタイミングがあるなど、蕎麦打ちの技術が高くないと記事がぼろぼろに割れてしまったりしてなかなか上手な蕎麦ができあがりません。
幸い私は、中央区役所の近くに店を構え"レモン蕎麦"で有名な『志の家』さんのご主人から手ほどきを受けたことがあって、なんとか更科蕎麦を打つことが出来ます。
更科蕎麦は、風味らしい風味はなくて、コシのある感じをのどごしで楽しむものですが、一手間加えるとすればここにゆずの皮や梅、シソ、抹茶などを練り込んで変わり蕎麦として楽しむことが出来ます。
残念ながらもうゆずの季節も終わってしまいましたが、ほのかなゆずの香りを添えると、たかが蕎麦も高級料理に早変わり。
汁は作り置いて冷凍してあるのがあったので、妻と二人でお腹一杯食べて、そば粉だけなら4百円たらずとはなんというコストパフォーマンスの良さでしょう。
手業って良いですね。