昨日は都市計画学会北海道支部の事業の一つである研究発表会がありました。
学生さんでも社会人でも、都市づくりやまちづくりに関する調査・研究を発表して関心ある人たちに知ってもらえる良い機会です。
今回は13本のエントリーがあり、それぞれに独特の研究発表がなされました。
東川町でのフィールドワークに基づいた過疎でも過密でもない「適度に疎である『適疎』なまちづくり」に関する調査は、人口減少下の市街地の再整備の方向性に繋がるかもしれない興味深い研究でした。
またそれ以外にも高層建築を作る際の公開空地のあり方に関する研究や、スマホの三次元加速記録を用いた転倒防止のための研究、本当はしなくてもよいのについやってしまう屋根の雪下ろしによる死亡事故の分析、大通りの雑居ビルのテナントの変遷など、今後の都市づくり・地域づくりに寄与する面白い研究が多く、楽しい時間でした。
私はコメンテーターの一人としていくつかの研究発表の後に発表テーマをさらに深掘りするようなコメントをする役割を務めましたが、久しぶりに普段は使わない脳の部分を使い、脳的に非常に疲れました(笑)。
しかし若い人たちと触れ合って、様々な研究レポートに触れるというアカデミックな時間は良いものです。
大学の先生がいつまでも若々しい理由は若い人たちと触れ合えているからで、うらやましくもありました。
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さて、今日の集いでは普段は会議でしか会えないような人たちとも食事や懇親会などで普段以上に触れ合う時間がありました。
そんな世間話の中で、観光ガイドの話が出ました。
炭坑や鉄道などでは、かつて炭坑に勤めていた人や機関車を動かしていた人など、実体験をもった語り部がいて、そういう人たちの説明やガイドは臨場感があって人気があるのだと。
しかしその一方で、高齢化が進みあと10年もするとそのような実体験を持った人たちは早晩現場からは確実に消えてゆくものです。
そうなるとできるだけ早めに実体験を伴わなくても伝えられるあり方に転換してゆく必要があります。
また最近は若い人たちを中心に、「ガイドは結構です」という人も増えてきたのだとか。
好みや関心も多岐にわたり、伝える側には少量多品種のガイド内容が必要になることが予想されます。
ある先生は、「そもそも人口減少のために、若い人をターゲットにしたものは対象者が減ってゆくのだから、大量のマスを狙おうと思うとどうしても高齢者狙いになってしまう。テレビなど既存のメディアはもうそうなっているのではないか」と興味深い指摘をされていました。
少量多品種がこれからのキーワードだとしたら、多くの手によるyoutubeなどのたくさんの動画の活用も有望かもしれません。
人口が減ると少量多品種になってゆく、というのは面白い視点です。
異なる視点を持つ人たちとの会話はやはり面白い。
いくつものコミュニティに参加していることも意味や面白さはこういうところにありますね。
刺激的な一日でした。