とある会議。
現状分析と称して、今のやり方の非効率やうまくいかない点などが紹介されてゆきますが、つきつめるとそれはただの不平不満を言うだけに陥りがち。
「今のままじゃうまくいかないといくら言っても上司は反応してくれないんですよ」という人に「ではどうやったら現状が少しでも改善すると思うのですか」と訊ねると、ある人は「それは…」と口ごもり、別な人は「この部分をこうすればよいと思うんです」という自分なりの答えを教えてくれます。
「すばらしい、問題解決には『ではどうしたら良いか』という提案が必要です。ではその提案を実行することのメリットはわかったとしてデメリットやそれによって不利益を被る人はいませんか?」
そう訊ねると、前向きな提案をしてくれた人も「それは…」と口ごもります。
結局、誰も傷つかず不利益を被らずに、やればうまくいくという方法はなかなか見つからないということが分かります。
判断をゆだねられた上司や権限を持つ人は、やれば良くなることとやれば悪くなることの間でいつも悩むことになります。
それでもやはり現状のままではいけなくて、未来に向かって変えなくてはならないことはあるもので、ひとたびそう思えればそれを実行するのも権限を持つ者の役割であり仕事です。
問題は第一段階の、現状では不平・不満がありながらそれをどうしたら改善できるかがわからないという状態です。
まずそこからは脱出したうえで、利害調整はあるけれど実行することで現状を改善できる方法を提案する。
そこに真実があれば、時間はかかっても必ず事態は変わってゆく方向に動くものです。
また、トップほど事態を変えなくてはいけない、と思っていても、その下やさらに下にいるような人たちが抵抗することもしばしば。
結局誰も、批判を浴びることは避けたいし現状のままでごまかしていられるなら、『昨日と同じ今日になり、今日と同じ明日が来る』ことを祈る人が多いのです。
それを勇気を奮って変えられる人こそ歴史に名を遺すリーダーといえるわけですが、その一方で悪名として名を遺すリーダーもなかにはいる。
判断をするトップリーダーの切なさや孤独の多くは理解されないものですが、だからこそ判断の材料を今問題が起きている現場に求めるというフットワークが必要になります。
現場に足を運び、現場の声を聞き、そのうえで批判と火の粉をかぶって利害調整を行う。
その孤独を少しでも和らげるためには、利害の姿も含めた一歩進んだ改革の提案がほしいものです。
現場から生じる改革の声を大事にしたいものです。