【古代怪獣ゴメス youtubeより】
昨日の1月2日は1966年のこの日に特撮SF番組の『ウルトラQ』が放送を開始した日なのだそう。
私の年齢は7歳で、まさにリアルタイムでウルトラQを観た世代としては懐かしい限りです。
ウルトラQは、怪獣、宇宙人、その他の架空生物などが登場して日常生活を脅かす事件となり、それらとの遭遇のドラマや退治したりして危機を乗り越えてゆくようなSFドラマでした。
記念すべき番組第一回のタイトルは「ゴメスを倒せ!」で登場した怪獣は古代怪獣ゴメスとそれと対決する原始怪鳥リトラの組み合わせでした。
このときのゴメスの着ぐるみは実は1964年公開の東宝映画『モスラ体ゴジラ』で使われたゴジラを流用したものを改造したうえで東宝から円谷プロに貸し出されたものなんだそう。
それまでにも映画では『ゴジラシリーズ』があったのですが、お茶の間のテレビでそれまで見たことのない奇怪な動物や静物が毎週登場するのには、幼心に怖さとワクワクを感じたものでした。
ところでこの『ウルトラQ』にはいつもそれまで人間社会が出会ったことのない未知の生物が脅威の存在として登場します。
初回の古代怪獣ゴメスをはじめゴジラ的怪獣もいましたが、お金を食べるカネゴンなどはユーモラスな妖怪として登場し、またエネルギーを吸いまくる風船怪獣バルンガなどは環境問題にも通じるようなメッセージ性がありました。
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これらはいわゆる「未知の脅威」なわけですが、ドラマの設定上、人間としてはその脅威に対処して解決する必要があります。
ところが未知の相手なのでまずどんな意図や能力があるのかがわかりません。
怪獣ならばただ暴れまわる存在としての脅威ですが、宇宙人とか未来人のような設定では地球を侵略したり征服するという意図が示されることが多くありました。
ドラマの中では敵の弱点を発見してそれに対処する能力を備えて最後には勝利をするのがお約束ですが、なかには謎を残したまま問題意識を投げかけるような終わり方をすることもあったと記憶しています。
この「脅威となる相手の意図と能力」ということは、今日の防災や防衛の問題にそのまま当てはまる概念だと知ったのはずっと後に国の公務員になってからでした。
研修で防衛庁(当時)の方と意見交換をした際に、「戦争なんてすぐには起きませんよね」と言った私にその方が言われたのが、「小松さん、戦争は相手の意思と能力で始まるんですよ」という言葉でした。
「能力」とは防衛で言えば防衛装備品の量と質のことであり、防災で言えば災害に強いまちづくりということになるでしょう。
また「意思」というのは、相手の国が何をもくろんで戦争に突入し、どのような戦略で攻めて来るかということで、災害と共通するのは「いつその意思が発令されるのかはわからない」ということです。
戦争も災害も、始まらないことを願ったりそのために外交の技を尽くすということがあるにせよ、相手側の意思一つなので、こちらの願いや望みとは関係なく始まるときには始まるのです。
防衛庁の方は「だから、我々は相手の能力を見極めてそれが発動されるとどうなるかを考えた備えをするしかないのです」と教えてくれて、それ以来私の中で「意思と能力」というキーワードは強い印象が残ることになりました。
周辺の能力環境が変わったのであればそれなりに対応をするのが防衛政策であり、同時に災害もその危険地帯を認識し災害の度合いを想定した対応をするのが防災政策ということになるでしょう。
私たちは現実から目を背けることはできないし、その計画を作るにあたってはその道のプロによる職業規範から出る提言を真摯に受け止めるべきではないかと思います。
そして残念なことに、「意思」は次の瞬間に発動されるかもしれない突発的な性格があり、「能力」の方はそれを供えるために時間・お金・技術という資源を必要とするということで一朝一夕には備えられない性格があるという事も理解しておく必要があるのです。
戦争も災害もないにこしたことはありませんが、ないことを願うだけではなく起きないための備えや起きたときの備えなどにも心を配ることが必用ですね。
ちなみに『ウルトラQ』で私が最も印象に残っているのは『2020年の挑戦』というタイトルで登場した「ケムール人」というキャラクターで、飛ぶように逃げるとパトカーでも追い付かないというシーンが頭にこびりついています。
子供の記憶って消えないものですね。
【ケムール人 youtubeより】