自治体の道路管理の一部を民間事業者が受けるという、「道路包括管理業務」。
国土交通省でも、もうそろそろ自分たちのインフラを自分たちで管理しきれない自治体が出てくるのではないかと心配をして、民間に業務を委託するための手引書づくりを始めました。
昨日消火した『未来の年表』でも、自治体職員が減少して業務の一部がやれなくなる絵姿が描かれていました。
とはいえ自治体の職員さんたちは真面目なので、簡単に音を上げることはなくギリギリまで頑張ることでしょう。
しかしそれがかえって、本当にもうダメな時にはいろいろなことが手遅れになるという恐れもあるわけで、どこかで踏ん切りをつけて行政も身を軽くする方向に舵を切るべきだと思うわけです。
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そんなことから私の場合、自治体を訪問する機会が増えて、自治体が困っていること、課題に感じていることをまずは拾ってみる作業を続けています。
そんな作業の一つが「お困り度アンケート」です。
これまでのヒアリングの中から浮かび上がってきた様々な課題項目について、本当のところ"どれくらい困っているのか"を聞き取りして、自治体ごとの特徴をあぶり出したいという狙いがあります。
最初の頃は、「何に一番困っているか、二番目に何に困っているか…」という困りごとの順番を聞き取ろうとしていたのですが、ある大学の先生から、「相互の関係性よりも、独立した項目として困っている度合いを数値化する方が良いのではないか」という示唆がありました。
そこでこちらで設定した困りごと項目についてそれぞれを「非常に困っている」から「全く困っていない」までの7段階で評価してもらう方式に切り替えたアンケートを作成。
今日も改めてある自治体さんを訪問して意見を聞きながら記入にご協力をいただきました。
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興味深かったのは自治体内部の予算や職員の問題もありますが、地元の業界の行く末自身も心配でそこに課題があるということです。
業界も会社が減ったり高齢化と人口減少でオペレーターや資格者が減って作業量がこなせなくなるという事が予想されています。
それでいながら一部にはいまだに「業界の競争を促進してより安く落札してもらおう」という考えの方がいます。
しかし実際の地方都市では業者の数も少なくなり、もはや競争を促したところでそれほど業者の数がないというところも増えています。
もはや建設業界は、その地方や自治体によっては「競争から協調」へと考えを変えないとサステナブルに生き残っていけないところがふえているのではないでしょうか。
協調ということは決して談合というネガティブな意味合いではなく、得意な分野を持ち寄りながら地域を支える業界像であり、たとえば地域によっては地元の全業者さんによる維持管理組合ができていて、そこが夏も冬の除雪も仕事を受けるというような事例が見られます。
業界も各地域ごとに様々な事情があり、簡単に事が進むわけではないでしょうけれど、将来的なビジョンくらいは共有する方が良いのではないでしょうか。
やるべきことをやらないでおいて困るのは、我々のような高齢者ではなくこれからの社会を生きなくてはならない孫の世代です。