実家の93歳になる父は、年金支給日になると「通帳に記入しなくちゃだめだ」とそのことに固執しているのだという。
とはいえ、認知機能の衰えが顕著で、「爺ちゃん自分でATMへ行って記帳できるかい?」と母が言うと「できない」ともうそのことには自信が持てません。
父はまだ歩くのは一向に問題がないのですが、ATMの前へ行っても何をどうするかがもうわからず、一方母は家の近くのショッピングセンターのATMへ行くだけの足腰の体力がありません。
先日は弟が母を車に乗せてATMへ行って記帳してきたということですが、たったそれだけのことももう老親には難しいことになっています。
弟はATMで記帳してそのまま母がカートを押しながら買い物をするのをサポートし、家に帰ってきてからは洗濯した大物の布団を物干しに干すのを手伝ったそうで、「どれだけ時間がかかった?」と訊くと「ちょうど1時間だね」とのこと。
なるほど、要支援1の夫婦が日常のちょっとしたことを手伝ってもらうのに、週一度1時間のヘルパーさんがいれば何とかなるのかな、と思わせる出来事でした。
両親は今でも週に一度地区の会館で開催される麻雀大会を楽しみにしていて、それに出るのですが、「お父さんはもう打つのも遅いし数えられないからゲームには参加していないんだ、ただいるだけ」なのだそう。
でも弟はたまに高校生の息子を連れて四人でマージャンをしていたはず。
「父さんは会館ではできないけど、家での家族麻雀ならできるのかい?」
「家ならやれているね。この間は四暗刻の役満で上がったよ」
認知症ではできないことが増えても、できることは案外そのままできたりするものです。
麻雀はいつまでできるのでしょうね。
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母は先日「通信販売で自宅でできる足踏みの健康器具を申し込んだんだ」と言います。
よくある、ペダルが二つ付いていてそれに乗って右足、左足と交互に踏めば片方が下がった時に反対側が上がるという単純な健康器具です。
「ええ?いくらしたの?」
「それだけなら1万円くらいなんだわ。だけどその本体に、なんやかやの付属品も追加すると2万5千円くらいになる」
「うわ、そんなのホントに使うかい?階段を上り下りすればいいんじゃないの?」
「いや、ほんとさ。それでね、一回申し込んだんだけどやっぱり馬鹿らしくなって解約しようとしたのさ」
「えー、ちゃんと解約してくれた?」
「それがさ、電話したら自動音声で、『〇〇なら1へ、解約なら2へ…』って案内があって、言われた通りに数字のボタンを押したら解約できたよ。便利だねえ」
いやはや、また懲りずに悪徳とは言わないけれど、新聞広告の通信販売の商品に手を出したかと思いました。
ちゃんと解約できたかは後々確認したいところですが、自分も一度「これは良い」と思ったらつい買ってしまう質なので、このまま歳を取るとああなるのか、という手本を見た感じです。
自分の親の姿を見て、自分が年を取った時のことをシミュレーションするのが良いのかも知れません。
明日は、いやあと20年後にはわが身です。
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