こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『おはようおかえり』近藤史恵

2023-02-06 19:59:58 | 読書感想
 
和菓子屋「凍滝」
特に老舗ではなく、有名店でもないよくある田舎の和菓子屋。

小梅は、自分か次女のつぐみが店を継ぐと思ってきたが、つぐみは中学生の頃から演劇部に入って「舞台俳優になる」と言っていたし、大学もアラビア語学科に進みエジプトに留学したいと言い母に反対されても意志を通そうとしていたのに対して、小梅自身は特にやりたい事も無かったので、自分が継ぐのだろうと思っていた。

そんなある日、つぐみが映画に出かけようとする小梅に「おはようおかえり」と声を掛けた。
日頃使わないような言葉に疑問を持ったが、どういう状況下か分からないながらも、つぐみに曾祖母と思われる意志が現れ、祖父に宛てた手紙を取り戻して欲しいと言い出した。

しばらく後に、つぐみ自身の意志を取り戻した彼女だったが、小梅の話に半信半疑だった。
ただ、エジプト留学も考えているのに、そちらで人格交代されてもかなわないので、手紙を取り戻す事に協力する事になった。

曾祖母の意志についてはホラー的なのかSF的なのかは置くとして、彼女の手紙の行方を探しというのは、日常のミステリになりますでしょうか?
肝心の曾祖母は亡くなっているのですけどね(;^_^A

同時にこの物語は、あらゆる人々の持つ偏見と差別もテーマにしているように私は受け取りました。
例えば曾祖母の時代の価値観と小梅たちとの価値観のギャップや、小梅とつぐみがある事から偏見と差別にさらされてきた事など、私も自分の中にある偏見について考えましたし、悪意はなくとも他人を傷つける場合もある事で、発言はよく考えなければとも思いました。

多分、自分自身が普通とか常識人と思う事こそ危ないのかもしれません。
コメント
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