1973年、もちろん完全に映画はカラーと決まっている状況であえて白黒で製作して1930~40年代の古典的な映画のスタイルを模倣したのだが、製作されてからすでに30年以上が経ち、この映画自体がもう古典に入ってきているのが不思議な感じ。
言っては悪いが、監督や主演者がこの後かなり大きくキャリアでつまずいたので、なおさら今昔の観が強い。
オープニングからアメリカ中西部のだだっ広い風景が印象的で、空の感じなどもいやでも監督のボクダノヴィッチがインタビュー本までこしらえてしまったジョン・フォードを思わせる。
「ラスト・ショー」ほど身も蓋もない突っ放し映画ではないが、人情劇風のストーリーの割りに案外演出タッチそのものはドライで批評的。
(☆☆☆★★)