prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アイアン・ジャイアント」

2007年11月27日 | 映画
冒頭、スプートニクが飛ぶところから始まるのだが、ソ連の人工衛星に感心するより核爆発が近くであったら机の下に潜ればいい(!)という恐るべき教育(!)映画が再現されるなど(爆発して地面に巨大な穴があいても机の下だけは残っていたりする)、核兵器を打ち込まれるのを恐れた冷戦時代のディテールがきっちり描かれているのが、のちに「Mr.インクレディブル」で弁護士と保険会社がスーパーヒーローを潰してしまったという設定を作ったブラッド・バードらしい批判精神とガッツを見せる。

50年代を舞台しているのにもかかわらず、けばけばしさのない落ち着いた色彩なのがいい。
スクラップから「芸術」を作っているアーティスト(?)が中国風の紋様をデザインしたガウンを着ているのが、60年代を先取りしているよう。

メイキングによるとロボットだけCGを使っているそうだけれど、機械らしいスムースな動きをする一方でキャラクターとしてまことに生き生きとしている。「天空の城らラピュタ」のラムダに似てるとも思うが、「やぶにらみの暴君」のロボットにも遡れるわけで、まだ機械らしい分親しみの持てるデザイン。
ストーリーは「E.T.」で、父親がいないというのも一緒。
(☆☆☆★★)