世界各地のロケ効果が見事、タンジールの街の狭い路地を駆けずり回るカメラワークと通行人たちの数と自然な立ち居振る舞いなど、アメリカ映画の機動力と最新撮影技術の威力を見せつける。
エイドタイトルにずらっと100人以上のスタントマンの名前が並ぶ、というのも「生」の迫力を重視している現われのよう。ボーンの格闘術も動きの目が詰まっている感じで、あまりショーアップされていない(実際はしていると思うが)。
原作は上中下の三巻本という長さで、脚色にあたってどうまとめているのか知らないが、大筋だけ取り出してみるとごくシンプルなので、なんでもない会話の中に暗号が隠されていたりといった細かい部分に十分注意を払える。
もったいをつけて紹介される重要な役をやっている人、アルバート・フィニーに似ているなあ、と思ったらご当人。スコット・グレンもだけれどちょっと見ないうちにかなり老けた感じ。
(☆☆☆★★)