ジョディ・フォスター、リメイク路線にでもシフトしたかな、前作「フライトプラン」はヒッチコックの「バルカン超特急」の実質的なリメイク、今回はどう見ても「狼よさらば」のリメイク。
字幕では処刑人と訳していたと思うが、でかでかと新聞の見出しにVIGILANTEと出ている。アメリカの伝統といっていい自警主義、といっても自分で自分の身を守るというところから簡単に一歩踏み出して、まだるっこい法の裁きなど待っておれず悪者は自分の手で始末する、というアブない体質で、映画の中でラジオのリスナーからの電話で「イラク戦争で懲りてないのか」なんて言うのがあったが、こういうのはB級映画的に悪者はとにかく悪者なのだとあらかじめ割り切れないと、話自体が成り立たない。
人権派が偽善的で、まだるっこく屁理屈をこねているのは確かだけれど、だからといってタガを外すのを肯定するわけにはいかない。
銃をとるのがブロンソンみたいなヒーロー然とした男ではなくて、小柄な女性というのが一応新味ではあるけれど、フォスターが慣れない殺しの後、服を着たままシャワーを浴びるといった表現はすごくリアルなくせに、今回もご都合主義的に悪者はとにかく悪い。
ラストもその上に成り立っているので、あまりいい気持ちはしませんね。
この手の自警主義をもう少し知的に突っ込んで扱った映画としては、ピーター・ハイアムズ監督、マイケル・ダグラス主演の「密殺集団」
がおススメ。
それにしても、「狼よさらば」の頃に比べるとニューヨークの治安は良くなったことになっているはずだけれど、表向きなのかな。
すぐ殺されてしまうフォスターの婚約者役は、テレビの「LOST」のサイードことナビーン・アンドリュースですね。「トランスフォーマー」に「プリズン・ブレイク」のスクレことアマウリー・ノラスコが出ていたけれどちょい役だったし、アメリカだとまだ映画の方が格上なのかなあ。
(☆☆☆)