同じ下山事件を取り上げて同じ菊島隆三がシナリオを書き同じように新聞記者を主人公にした「黒い潮」では自殺説を採っていたが、こっちでは他殺説に立っている。それでどちらにしてももやもやした陰謀説的なものが残るのまで同じというのは妙な気もするが、いずれにせよ何らかの隠蔽工作が行われたのは確かみたい。
その「隠された」割り切れなさ、気味の悪さが不安をかきたてるという形のサスペンスを持つ。
実際のところ、「真相」を知っている者がいる、あるいはいたのかどうか、知っているつもりでいる者も事件の全体像を把握しているのかどうか、また事件が日本の戦後に与えた影響について完全に計算が立っていたのかどうか、かなり疑問。
そんなに計算通り世の中が動くのだったら、逆に政治家いらないよという気になる。
とはいえ、ものすごい手のかかった戦後風俗の再現(美術・木村威夫)、白黒画面の効果を生かした撮影(中尾駿一郎)の上に、熊井啓演出はリアリズムを通しながらところどころ表現主義的なイメージを打ち出してくる。
そういうイメージはルミノール反応を起こして光る血痕、米軍のヘリから突き落とされた井川比佐志の証人を飲み込む黒い海、など、のちの「ひかりごけ」や「海と毒薬」など他の熊井作品と共通していて、事実というより作者の中から生み出された感が強い。
仲代の部下役で役所広司が出ているみたい(写真右)。あんまり若いのと役が小さいのとで、確信が持てないが。
(☆☆☆★)
本ホームページ
goo映画 - 日本の熱い日々 謀殺・下山事件
その「隠された」割り切れなさ、気味の悪さが不安をかきたてるという形のサスペンスを持つ。
実際のところ、「真相」を知っている者がいる、あるいはいたのかどうか、知っているつもりでいる者も事件の全体像を把握しているのかどうか、また事件が日本の戦後に与えた影響について完全に計算が立っていたのかどうか、かなり疑問。
そんなに計算通り世の中が動くのだったら、逆に政治家いらないよという気になる。
とはいえ、ものすごい手のかかった戦後風俗の再現(美術・木村威夫)、白黒画面の効果を生かした撮影(中尾駿一郎)の上に、熊井啓演出はリアリズムを通しながらところどころ表現主義的なイメージを打ち出してくる。
そういうイメージはルミノール反応を起こして光る血痕、米軍のヘリから突き落とされた井川比佐志の証人を飲み込む黒い海、など、のちの「ひかりごけ」や「海と毒薬」など他の熊井作品と共通していて、事実というより作者の中から生み出された感が強い。
仲代の部下役で役所広司が出ているみたい(写真右)。あんまり若いのと役が小さいのとで、確信が持てないが。
(☆☆☆★)
本ホームページ
goo映画 - 日本の熱い日々 謀殺・下山事件