冒頭の無人で草ぼうぼうのニューヨークの風景はどうやって作ったのかと思わせてぞくぞくさせられる。スーパーマンとバットマンを組み合わせたようなデザインの看板があったり、地図にロバート・デニーロのプロダクションであるトライベッカの文字が見えたりといったお遊びもちょっと楽しい。
一方であんなに自動車ぶっとばしてガソリンをどう調達したのだろうとも不思議になる。地球上に人間がたった一人しかいないという設定は刺激的なのだけれど、シーンもストーリーがそれをフォローしないのですね、電気・ガス・水道のどれも途切れている様子がないし、さらには他の人間がぞろぞろ出てきてしまうのにがっかり。
世界に他に人間がいない中で人間性というのはどうありえるのか、といった大いに気をそそるテーマもどこかに飛んでしまい、結局今の世界だけが唯一絶対というところに閉じこもってしまって、全然発展性がない。こんな硬直した世界観見せられても仕方がない。
余談ながら、原作者のリチャード・マシスンは訪問した日本人にマジメな顔で「隣に吸血鬼が住んでいる」と悩みを打ち明けたという。なんか、そっちの方が怖い気がする。
(☆☆★★★)
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