prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「麦の穂を揺らす風」

2008年02月10日 | 映画
イギリスについてはとにかく居丈高に暴力にまかせて弾圧してくる描写であまり細かいニュアンスはないが、いったん条約が結ばれた後でアイルランド人の中でそれに一応従おうとする者とあくまで完全な独立を勝ち取ろうとする者の間で対立(古語を使うと内ゲバというのか)が起きてしまい、それぞれある程度の「正しい」ためにかえって和解できずに兄弟の間が引き裂かれる、というあたり、やりきれなく重い。

20世紀終盤から現在にかけてというのは革命や独立運動が必ず何が正しいかを巡って争いの再生産に陥って、かつて革命とか民族自決といった言葉が持っていた輝かしさを失ってしまった時期という気がする。
ただ、ある程度常識になっていることを改めてなぞった感じで、典型的な分、今でも世界で起こっていることに通じる一方で、ちょっと映画自体カッコに入っている感じもする。
(☆☆☆★★)