見ながら、何度か「純文学」という言葉が頭をよぎった。
刑務所に入るまでの男の自由だが無為な25時間を追うという構成は、人生を断ち切る一つの区切りを置いてそれまでの人生で関わってきた人たちと再会したりして整理し、一体どんな意味があったのか考え直すという意味で、自殺する男の最期の二日を追ったドリュ・ラ・ロシェルの「ゆらめく炎」とルイ・マル監督によるその映画化「鬼火」をちょっと思わせる。
あるいは実存主義、というのはこういうものではないか。スパイク・リーがこういうアート系の映画を作るとは意外。インテリ体質が出た感じ。
見ていて面白い、というものではないが、ところどころに出た「人生をムダにした」痛みの感覚はけっこう切実。
(☆☆☆)