prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「肉体の門」(1988)

2008年02月24日 | 映画

主な舞台であるビルの廃墟にでかい不発弾が刺さっていて、それを根城にしているパンパンたちが御神体みたいにして祀っているという設定がセットデザイン的にも面白い。
ダモクレスの剣みたいにいつ死につながるかわからないのと同時に、怖がってヤクザも米軍も寄ってこないので一種の解放区みたいになっている。もっともパンパンの一人がしきりとみんなで金をためてパラダイスを作るのを夢見て口にするのは、なんだか甘い。具体的にどんな夢なのか描きようがないわけだし。
内容からして裸はあちこちに出てくるけれど、栄養がいいのが変な感じ。

米軍の役者がひどく安っぽい。おかげでそれに占領されている日本人も全部安く見える(事実そうだとも言えるが)。
かたせ梨乃と名取裕子というキャスティングも二時間ドラマのスペシャル版みたいな感じなズレた豪華さ。二人が踊るミュージカル風のシーンも凝っている割りになんか呼吸が良くない。
女同士の喧嘩を見せたりする女闘美趣味など日本人(特に女性客)が嫌うタイプの日本映画的なセンスが横溢している。

子供の歌手が大人を集めて「リンゴの歌」を歌っているシーンは当然美空ひばりのことだろう。そういえば脚本の笠原和夫はひばり映画でデビューしたのだったなと思う。
(☆☆★★★)