prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「それでも恋するバルセロナ」

2009年07月17日 | 映画
ウディ・アレン作品を席数540の非ミニシアターで見るのは初めて。しかも結構入っていた。

スカーレット・ヨハンソンが演じる、中途半端に表現欲を持っているが何を表現すればいいのかわからない芸術家未満のキャラクターに、1978年のアレン作品「インテリア」のメリー・ベス・ハートがだぶる。ハートの場合はその焦りから母親に当たり、自殺に追い込んでしまうという悲劇になるのだが、ここでは救いの手が差し伸べられ、何をすればいいのかつかめる。

その救いの神がヨハンソンのアヴァンチュール相手の画家ハピエル・バルデムというのなら普通だけれど、画家の元妻ペネロペ・クルスというのがユニーク。バルデムもクルスからモチベーションをもらうわけで、男も女もともに芸術家は美神(ミューズ=ミュージックとミュージアムのの語源)の恵みを受けている図になる。

一時的にでも三人で「結婚」しているという不思議な関係は、単に性風俗的に風変わりというだけでなく、一種の芸術家論でもあるし、アレンの好色さと創作力の結びつきの告白でもあるだろう。
(☆☆☆★★)


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