リアリズムという点では、林がセットであることがわかったり(影が複数出ている)、醜い欲望がぶつかりあうドラマはこの後ずいぶん出ているので古く感じるところがあるのは免れないが、ウォルター・ヒューストン、ハンフリー・ボガート、ティム・ホルトの主役三人が達観、猜疑、無垢にきっちり描き分けられていて、神話的なくらい典型的な配置になっているのは見事。
ボガートがメキシコ現地人のことをIndianと呼んでいるところがあったと思う。製作当時(1948)としてもずいぶんアバウトな認識。
苛烈なリアリズムと、メキシコに対する一種のロマンチズムが混在しているあたり、のちのペキンパーにも通じる。
(☆☆☆★★★)