左翼運動が担った希望と失望を、子供の目を通して描いているのが興味深い。どれだけ高邁な理想を掲げようと、子供にしわ寄せが行ったのでは何やっているかわからず、しかも子供ひとりも納得させられないとはどういうことだ、と思わせる一方で、なぜあれだけ左翼が世界で勢力を獲得したかの基本である、一人だけではなくみんなが幸福になる必要があるという理想と、合して和せずの自立心とは押さえている。
そのあたり、最近あちこちで猖獗をきわめているガキっぽい安直なサヨク批判とはわけが違います。
ずうっと女の子が機嫌が悪い顔をしている映画も珍しい。弟がわりとノンキなのがおかしい。
監督はコスタ・ガブラスの娘のジュリー・ガブラス。となると、どうしても「社会派」監督のコスタ・ガブラスが父親としてはどうだったのだろうかと気になってしまう。
(☆☆☆★★)