prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」

2009年11月12日 | 映画
オープニング、バックダンサー(全部で11人)のインタビューで始まるのが「コーラスライン」風で、実際オーディション風景はまったくあのまま。

マイケルの死去で期せずしてステージそのものではなくバックステージものになってしまったわけだが、もともとミュージカルにバックステージものが多いように、表に出ている分より水面下に沈んでいる分の方が豊かだったりする。
観客がいない中で、ここで拍手がくると間をおいたり、スタッフが思わず拍手してしまったりするあたりも面白い。

それにしても、ツアーそのものが中止になって、ダンサーたちはこの映画だけ残されたわけだが、これキャリアとしてカウントされるのだろうか。されないのはおかしいと思うが。

マイケルがバックミュージシャンに辛抱強く細かい指示を出し、女性ギタリストに「ここは君の見せ場だ」とかいって乗せていくあたり、マイケル一座の座長という感じ。

ところどころマルチスクリーンで衣装を変えた別テイクの同じダンスを並べて見せるのだが、振り付けがかなり違っていることが多い。「ザッツ・エンタテインメント PART3」で、フレッド・アステアが衣装を変えた別テイクをマルチで並べてみせるところでは、両者にまったく違いがなかったのとはずいぶん違う。

ダンスの撮り方が全身つま先まで入るフルショット中心なので見やすい。「映像的」にダンスを再構成しようとしたぶちぶちに切り刻んだ部分カットを重ねるいわゆるMTV風とは違う。MTVの先駆者でもあるのに。

字幕が入らないのもいい。足先に字幕がかぶさるのは、かなり見ていてうっとうしいから。
しかしこれだけ字幕が少ない映画にして、字幕担当者は監修とエンドタイトルのThis is itだけの翻訳とを加えて、全部で三人もいる。字幕翻訳料は字幕の数ではなく巻数で決まるはずで、ずいぶんコスト・パフォーマンスが悪い。あるいは良いというべきか。
(☆☆☆★★★)


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