prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「スペル」

2009年11月13日 | 映画
婆さんが口から汚い入れ歯を出し入りしたり、汚物を吐き出したり、とんでもない異物が出入りしたりと、やたら口にこだわったキチャない描写が多い。
楳図かずおが怖い絵を描く時、口の描写にこだわると語っていたことがある。攻撃的な器官でもあるとともに、物が侵入してくる脆い部分でもあり、いずれにしても危険が伴うからだそう。

ラストに持っていくまでの二転三転の展開と伏線の張り方に感心する。共同脚本のアイヴァン・ライミ(監督の兄)は本職は医者というのが、なんか可笑しい。

ヒロインのいやらしいライバル役のレジー・リーは「プリズン・ブレイク」の憎まれ役の東洋人やってた人ね。

家のローンを払えなくて銀行に差し押さえを食ったジプシーの婆さんの呪い、というのがサブプライムローン破綻以後のアメリカの状況をもろに反映している。ジプシーは定住しない民族というイメージを利用したみたいで、よっぽど無理やり貸し込んだのではないかと思わせる。
霊媒役のディリープ・ラオ Dileep Raoはインド人風の容貌だけれど、ジプシーの起源はインド北西部でしたね。

ヒロインがまた貧困層出身であることが至るところでわかるように描かれている。母親がアルコール依存症だったり、やたら甘いチョコアイスやケーキを好んだり、ダサい服装だったり、まとめて叩き売っても買い叩かれる程度の財産しかなかったり。
下層がさらに下層を痛めつける図です。
(☆☆☆★)


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