prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ミルク」

2009年11月20日 | 映画
ショーン・ペンの、特に身体をくねらせたりしなくてもゲイに見える演技はさすが。実際にミルクがテープに吹き込んで残しておいた遺書を回顧的でなく未来に向けて生かした構成がうまい。
ミルクの政治家としての資質と手腕にかなり焦点を当てた作りで、表立って見せる演説だけでなく舞台裏の交渉、駆け引きや人たらしぶり、あるいはボランティアがどうやって集まってくるのかといったアメリカ政治のあり方がわかる。

ミルクのライバルとも友人ともとれるアイルランド系の警官出身の政治家がどう追い詰められて暗殺に走ったのか理由は必ずしもはっきりしないが、個人的なヘイト・クライムではないのはよく描けている。
バックに極右的な集団の憎悪があるのはわかるが、具体的には描かれない。というより、ホモセクシュアルを神に逆らう敵と捕らえる感覚はまったく理解できない。なんなんですかね。

それにしても、マイノリティの候補者でも、というかマイノリティだからこそアメリカ憲法と民主主義の精神は必ず尊重するのだね。
(☆☆☆★★)