prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「天国の七分間」

2009年11月28日 | 映画
バスに乗っているところをテロによる爆破で生死の間をさまよった女性が再生する姿を描く。
ただし全体のタッチがリアリズムかと思っているとだんだん飛躍が入ってきて、現実と幻想が交錯し、人物がごっちゃになったりする。正直、かなりどうなっているのかわからないで当惑するところあり。

主役のレイモンド・アムサレム氏を囲んで質疑応答で、オムリ・ギヴォン監督はもともとホラー映画を作りたがっていたのだが、バスの爆破テロがあったのをきっかけに構想を大きく転換したという。その残滓はあって、この話全体がテロで仮死状態になっていた七分間の間にみた幻想だったというつもりらしい。そうはっきり決めて見ることもないと思うが。
デビュー作で製作に七年もかかったという。ちなみにイスラエルにホラー映画はまったくないらしい。

テロリストに対する憎しみがまったく描かれていないのは、実際にテロにあった人にとっては「生き続ける」「生きることを選択する」方が先にきて、憎んだりする局面からシフトしてしまうからだと答えていた。
(☆☆☆★)


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