prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ブレスレス」

2012年06月11日 | 映画
ゴダールの「勝手にしやがれ」のリメーク、というなんだそりゃと言いたくなる予備知識しかなかったのだが、冒頭リチャード・ギアが車を走らせながらカセットテープを再生して聞くのがジェリー・リー・ルイスの「ブレスレス」。
製作・監督・脚本のジム・マクブライトはこの後ルイスの伝記映画「グレート・ボール・オブ・ファイアー」を撮っているわけで、ゴダールに限らず好きなものを集めるのに興味がいっていたのではないかと思える。

「勝手にしやがれ」の原題À bout de souffleが初め「息たえだえ」では映画のタイトルにならないので宣伝部であれこれ考えたがいい案が出ない、やけになった部員が「ええい、勝手にしやがれ」と言ったら「あ、それでいこう」というので決まったという伝説があるが、たまたまにせよ意味が同じなのです。(字幕では「息もできないぜ」と訳していた)
リメークの作者としてはあるいは曲名からの連想でルイスの曲に引きつけることでアメリカ化あるいは先祖がえりさせるとっかかりとしたかったのかもしれない。

舞台をロスにしてあちこちにあるオールド・ハリウッドをモチーフにした壁画や広告を頻繁に画面に入れたり、鈴木清順の「野獣の青春」ばりに上映中の映画館のスクリーンの裏でラブシーンを展開したり、車の走行シーンでは昔の映画風のあからさまなスクリーン・プロセスを使ったりして、昔の「映画らしさ」を取り入れようとしている。
今だったらタランティーノみたいに好きな映画やマンガなどの引用で作るのがむしろ持て囃されたりするのだが、これが作られた1983年ではまだ手探りでやっている感じ。
映画中映画、見たことないけれどなんだろうとエンドタイトルに目を凝らしたが、それらしいクレジットなし。オリジナルにそれらしく作ったのだろうか。

もともとゴダール自身好きなアメリカ製B級犯罪映画の引用から作っているわけで、リメークでもやっていること自体はまるで違うわけでもない。
ただ、才能の違いというのは、ゴダールが苦手な人間から見てもあまりに明白。むしろ、引用して自分のものにできるかできないかで才能の有無がはっきり出るということかもしれない。

この頃のリチャード・ギアは品の悪いセックス・アピールが売り物で、ここでもベガスのステージに立って歌うのかと思わせるとんでもなくケバい服装でバカでかいアメ車を転がします。今から見るとウソみたいだけれど。
(☆☆☆)

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6月10日(日)のつぶやき

2012年06月11日 | 映画
09:09 from gooBlog production
「ミッドナイト・イン・パリ」アレン版「夜ごとの美女」? goo.gl/m0HlY

11:39 from web
Amazonのおすすめって、あんまり役に立たないのですね。こちらが読みたいのは、これまで知らなくて実際読んでこれこれと思う本なのであって、これまで読んだ本のデータだけでは推論できないのです。

14:01 from ブクログ(booklog.jp)
【本棚登録】『不可触民と現代インド (光文社新書)』山際 素男 booklog.jp/item/1/4334032…

17:27 from SOICHA
区長選挙、初の記号式投票だったのだが、特に便利になったとも悪くなったともいえず。それにしても、ひどい投票率。だからといって組織票が生きるわけでもなし。成熟しすぎというか。共産党は毎度ながら候補者を立てているけど、区長選で原発反対掲げてどうするの。

17:27 from SOICHA
あと、専用の○を押すハンコ、どこで作っているんだろう。

by yapoono6 on Twitter