単純な愛情ものというわけではなくて、傷や障害も受け継いでいるということだろう。そう簡単に克服できるわけもないが、救いは残る。
原題はfathers and daughtersだが(同時に父が最後に残した著書のタイトルでもあるという趣向になっている)、なぜ複数形になっているのだろうと思った。父一人娘一人の家庭だし、他に誰かの父、誰かの娘という関係の中にいるのが主という人物がいるわけではない。一般論としての父と娘ということだろうか。
作家という商売の大変さというのも相当に描きこんである。ひと昔前の設定らしく、タイプライターを叩いているけれど、ワープロより画になるな。
ラッセル・クロウがごつい体躯でちゃんと作家に見えるし、娘に対する愛情表現も熊さんみたいでかわいい。子役たちの演技の上手さには、役者というのは「なる」ものではなく「生れつくものだ」というジュリエッタ・マシーナの言葉を思い出したりする。
小品といっていいようなスケールの映画なのだが、移動撮影などずいぶん大がかり。
(☆☆☆★)
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パパが遺した物語@ぴあ映画生活
映画『パパが遺した物語』 - シネマトゥデイ