ほんの四年前の事件を実在の人物と実名でドラマ化するというスピードといつでも表に出て戦う姿勢はいかにもアメリカ。戦うというのはテロリストに対してというだけでなく、顔と名前をさらし個として他と相対する用意ができているということ。
さまざまな捜査機関や市・州・国といったレベルが絡み合いどこが主導しどこが責任をとるのかといった問題がついてまわるあたりもややこしくもリアル。
テロの再現のリアルさとスケール、テレビでは映らない惨状などアメリカ映画としては当然ながらさすがに迫力がある。テロリストが銃を撃つだけでなく手持ちの爆弾を使って逮捕に抵抗、町中でどかんどかん車が爆破されるあたり、本当にこんな大騒ぎだったのかと驚く。
ウォルバーグがドアを蹴破って突入しようとしてなかなか破れず膝にケガするというオープニングに笑う。あんなに簡単に蹴破れるわけないよなあ、といつも感じていた漠然とした違和感に映画の方が答えたみたいで、この後のリアリティのトーンも決めている。
ストリートをよく知っているマーク・ウォルバーグの停職明けの刑事が爆破地点周辺を再現した実物大の見取り図の上で犯人がどう動くとどこの監視カメラに写るかを指摘してまわるあたりは捜査の描写としてスリリングな一方で、こんなに監視カメラがあるのかとひやっとさせられる。監視カメラの画像解像度とAIが発達するとこういう膨大な映像の中から分析・抽出するのが容易になるのではないか。
MITに留学している中国人学生が重要な役だったり、世界に流れるニュース映像がアラビア語と中国語だったりするあたり、今の世界で気を使うべき相手が見て取れる。
(☆☆☆★★)
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