ただ出演者はギリシャ系、ハワイ生まれ、イタリア系といった具合で「ダンス…」みたいに本物の先住民はおらず、やはりカラード風でも白人、いわゆるホワイト・ウォッシングが今より目立つ。
白人酋長ものといって白人が野蛮人の群れに入ってそのリーダーになるといったお話の類型があり、「ターザン」や「アラビアのロレンス」などもそのバリエーションだろうけれど、おそらくそれと製作時は先住民の文化を再現し顕揚するというカウンター・カルチャーの一環としての狙いが混ざっている。
先住民の生活の学術的な再現という点でかなり冒険的な企画だったろう。
これは'70年製作だが、白人が有色の「野蛮人」の奴隷になるという図は同じ時期の'68年製作の「猿の惑星」に通じるものがあるだろう。(「猿」は原作者ピエール・ブールが日本軍の捕虜として泰緬鉄道建設に使役された体験が投影されていると言われている)
冒頭にカール・ボドマー Karl Bodmerの画(※)を参考にしたと出る。19世紀スイス生まれの画家で、イギリス貴族に雇われまだ未開のアメリカを旅行した時に目についた先住民の生活・風俗をスケッチしたものが重要な資料として残っているというわけ。
続編の「サウス・ダコタの戦い」(原題The return of a man called a horse)の方がさらに絵画の色彩から構図から徹底して再現している。
胸に鉤爪を食い込ませて宙に吊るす儀式は、続編では胸の肉がちぎれるところまでやっていた。
馬と呼ばれた男|映画情報のぴあ映画生活
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