おひとりさま暮らしが身についている三十歳の女性がもっぱらもうひとりの自分(というのか)を相手におしゃべりを続けるのだが、やりとりする声の主が男というのがまずユニーク。
よくある寂しいとか彼氏が欲しいとかいうのではないのがこれではっきりわかるし、第一好意を互いに感じる年下の良い男林遣都が出入しているのだから。
ずうっと一人で喋っていたら一歩間違えると危ない人だが、声相手とはいえ他者とのやりとりとして成立しているのだから、のんさんというのも不思議な役者。
とはいえ、ときどき自分を抑えきれなくなって暴走するのだが、これまたキレるといった安直な形容にはまらない。
若い男女が一緒にいたらどうこうといった型にはまらない微妙なニュアンスが全編にわたる。
ただ丹念すぎて2時間20分というのはさすがに長く感じる。
とにかく最初から最後までよく食べます。テレビはお飾りみたい。見るとするとそのそばの海老の天ぷらの模型の方というのが、ちょっと典型的。