インド映画ではあっても歌も踊りもない。派手なアクションもない。かといってアート系でもない。CGは高度だが、それ自体はリアリズムの範疇で使われてそれ自体を見せ場にしているわけではない。
実話ベースのサクセスストーリーという、今のハリウッド映画の一つのトレンドを取り込んだような娯楽作。
インド製のロケットで火星に到達するのにどこが画期的だったかというと、コストパフォーマンスが良かったというのがなかなか強引。
ヒロインが主婦も兼ねたロケット技術者で、家事もしながら宇宙管制センターに通うのがちょっと「ドリーム」のフェミニズムとインド式ホームドラマがごっちゃになっている感じ。「パッドマン 5億人の女性を救った男」の製作チームらしい。
この女性の節約志向と火星ロケットのコストパフォーマンスとを結びつけるというのは、結構強引。
地球などの重力を利用して衛星を加速する(減速もあり)いわゆるスイングバイはどこかで聞いた技術だと思って調べたら、はやぶさ2で使っている。かなり前の水星探査機マリナー10号が1974年2月5日に金星を用いたのが最初。
わかりやすく説明するには好都合だけれど、必ずしも特別な工夫ではなかったみたい。