prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「はい、泳げません」

2022年06月29日 | 映画
綾瀬はるかと長谷川博己という大河「八重の桜」で夫婦役で共演した組み合わせで売っているのだが、実は長谷川の恋愛の相手になるのは、阿部純子扮するシングルマザーの理髪師。狙ったわけではないだろうが、阿部さんが5月に結婚したという現実がかぶる。
綾瀬の方はもっぱら水泳のインストラクターの役で、泳ぎを通じて生き方についての示唆は与えるけれど、恋愛感情は潔いくらいない。
綾瀬、長谷川お二方とも肉体美。

理髪師というのも実はタイトルになっている泳ぎと関係しているのであって、つまり頭を洗う時に水をかけますからね、幼少期にいきなり叔父さんに海に放り込まれて溺れかけたため水が怖くなり泳げなくなったという長谷川の設定に対応している。

もうひとつ、長谷川と麻生久美子の元妻の間の子供が溺れて死んでいるという深刻な設定があって、泳げるようになるのとトラウマの克服が重なって描かれるのがドラマの骨子。
回想シーンで色を抜いて子供がゾンビみたいに見える工夫。
水は母親の胎内を満たしていた羊水であると同時に生死の間をつなぐ存在でもあるという構造がきっちりしている。

エンドタイトルに「納豆男」「納豆女」という役名がクレジットされる。どういう役かは見てのお楽しみ。
基本的に落ち着いた見せ方をしておいて、あちこちに鈴木清順かと思うようなケレン味がかった演出が入ってびっくりさせる。

「哲学監修」國分攻一郎なんてクレジットもあり。