prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「トップガン マーヴェリック」

2022年06月24日 | 映画
クライマックスの作戦がまるっきり「スターウォーズ」なのにびっくり。
しかもそれを実写の戦闘機でやってしまうのだから、VFXかCGの世界が現実と見分けがつかなくなっているのに呼応して、皮肉にもできるだけ実写にこだわった結果、現実の方も仮想とされてきた世界に接近しているみたい。

光が機体に反射して動くところがおそらく合成では出しにくいのではないか。
「天国と地獄」で実際の特急こだまで撮影した黒澤明が、車体の金属部分に映る影がセット撮影では出ない、という意味のことを言っていた。

敵を黒いヘルメットをかぶって(ダース・ベイダーか)、まったく顔が見えない存在として描いて、特定の国や人種を非難する意図はないと言い訳できる煙幕を張っている。

さらには「ファイアーフォックス」式趣向まで出てくるとは思わなかった。
なんでロシア(でしょ)にアメリカ人パイロットが操縦できる戦闘機があるのだろう、敵国から鹵獲したのか、ミリタリー系に強い人だとわかるのだろうか。まあ気にしなければいい作りでもある。

一作目の仲間の死という劇的な要素を生かして、これだけ前作の内容に密着した続編というのも珍しい。
かつての「ハスラー2」におけるポール・ニューマンの役割にトム・クルーズがつくようになった感。

ヴァル・キルマーの出演場面は37年の時を隔てて万感の思いという言葉がそのまま画になった。咽頭がんで声を失ったヴァルが最後にちょっとだけ話すセリフを合成するのにどれだけ手間と費用をかけたか。

マーヴェリック(はぐれ牛→思想や行動において独自の方針を示す人 慣例や規則を守らない人)というと、オバマと大統領の座を争った軍人出身の故ジョン・マケイン上院議員の仇名でもあったわけだけれど、軍隊にそういうニックネームをつける慣例があるのだろうか。