おかしな言い方だが、映画みたいな映画。
こういう植民地みたいな土地で男が異国の謎めいた女に出会い、激しい恋愛とアンニュイな日々を代わる代わる過ごすみたいなある種のパターンを祖述したみたいで、よく考えてみるとそういう具体的なモデルがあるかというと、ありそうでない。
存在していないが存在しているような気がする映画をさらに再現しているような不思議な映画。
ラストで男の「何を考えているんだ」という問いに「何も」と女が答えて去っていくのが、全体の縮図になっている。
撮影、美術、衣装などの美意識の統一が凄い。
謎の女がアメリカ人で、扮するのがいかにもアメリカ人らしいモデル出身のローレン·ハットン。
歯に隙間があるのは幸運の徴しなんて言い伝えあるらしいが、この人は割りと目立つ。監督とすると逆手を行っているのかもしれない。
ちなみにモデルの仕事でロマンチックな表情をするときは歯に目立たないように詰め物をしたとのこと。