prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ALIVEHOON アライブフーン」

2022年06月16日 | 映画
ドリフトの追走という試合形式すら知らなかったのだから我ながらヒドイが、スピードを競うのではなく、二台の車がデュエットを踊るようなつかず離れずに走るテクニックと美的センスを競うというもの。
走りの映像は大いに魅力的。カメラがタイヤに踏まれるくらい接近したかと思うと、ドローンによる空中撮影に切り替わったりして多彩で、クライマックスの夜間走行など幻想的ですらある。
普通のぶっ壊しを旨とするカーアクションものかと思ったら、むしろ美的センスを見る(競技自体がそう)作り。

もっとも一方で釈然としないところもあって、ゲームのレースで日本チャンピオンになった青年が本物の車のドリフトを始めるというのが基本の話だが、まるで初期の碇シンジみたいなぼそぼそした喋りのコミュ障ぶりで、eスポーツでもチャンピオンになるくらいの存在ならもう少し堂々としていないかなと思った。
あとゲーム=シミュレーターでやっていたことがどの程度現実の走りに応用できるのか、実際にGがかかる中で筋力がどの程度必要なのかとか、通用するのかしないのか曖昧で、そんなものかとなんとなく納得するしかない。

ヴァーチャル世界に閉じこもっていた青年がリアルに出て行って生身の人間との付き合い方を学ぶという展開に一応なっている割に、またゲームに戻るというのもなんだか釈然としない。
ゲームは単純にリアルではないからダメとは今や言えないが(早い話、それでマネーが動くようになっている)、はっきりゲーム世界の価値を立てている感じでもない。