prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ウェイ・ダウン」

2022年06月15日 | 映画
難攻不落の金庫に隠され厳重な警戒のもとに置かれたお宝を、チームが知恵と工夫の限りを尽くして奪うという、いわゆるケイパーもの。

定期的に作られているけれど、2010年のスペインvs.オランダのワールドカップという実際のイベントを背景にしているのが珍しくもっともらしい。

金庫を難攻不落にしている仕掛けがハイテクとアナログを混ぜたみたいで、画とするとアナログの方がわかりやすい。
ものすごい財宝そのものは重すぎるので、その隠し場を示す座標を記した三枚のコインにしたのも工夫。
今だと大金ほどデータ化された数値だけがデジタル空間を行きかっているだけみたいで味気ないのだけれど、大航海時代のお宝と結びつけたのがいい。

フランスとスペイン合作。世界市場向けのせいか主演に英語圏の俳優を連れて英語のやりとりも多いが、スペインの場面はスペイン語の方が多いくらい。

何よりワールドカップに興奮する大群衆をこのコロナ禍にどうやって画にしたのかと思う。
群衆の興奮を随所にはさんで映画自体を煽る編集も上手い。

強盗団のキーマンが天才的な頭脳を持ちながらカネ儲けには興味がない変人的な大学生で、犯罪者としては素人だからハラハラさせられるところもある。

ムリなところもあるが、ラファ・マルティネス、アンドレス・M・コッペル、ボルハ・グレス・サンタオラジャ、 ミシェル・ガスタンビデ、 ローワン・アタリー と実に五人がかりで相当に知恵と工夫を絞ってシナリオを練った(ああ、これが伏線になっていたのかと驚くところあり)拾い物的な娯楽映画には嬉しくなる。