prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ストーリー・オブ・マイ・ワイフ」

2022年08月23日 | 映画
全部で7章仕立てという構成が169分という相当な長尺をもたせるのにかなり与っている。
つまり単純にいってメリハリがつけやすいのと、基本的には男の視点で一貫させながら各章によって微妙に視点が揺れていて多角的にみられること。
各場面で常に何か裏があるような感じがある。

男が船長という設定が一種象徴的で、航路を見定める判断力指導力を持たなくてはならない職業の一方で、陸に上がって妻に相対するとまるでそれらがマヒしてしまう。
男らしさ誠実さ責任感といったイメージが強く、ハイス・ナバーがそれらのポジティブな面を十分に出しているので、翻弄された(あるいは一人相撲状態になった)時の混乱ぶりが目立つ。

レア・セドゥの一瞬も停滞せずに絶えず変転し続ける魅力が大きく、いわゆる悪女的なイメージにも捉われない。
1920年代のクラシックな衣装・美術の魅力も大きい。
ルイ・ガレルが出てきただけで何か後でやらかしそうな感じで、実際にその通りになる。