prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「サバカン SABAKAN」

2022年08月28日 | 映画
少年時代の友情(主役の少年ふたりの番家一路と原田琥之佑が良くて、このキャスティングで半ば成功した)を、当人同士でそう思っていいのか気持ちに濃淡があって、大事に思うからこそ、簡単に友だちなどと言ってはいけないというきめの細かさがいい。

少し年上のお姉さん(茅島みずき、18歳なのだが年上感がある)が打ち上げられたジュースの缶のハングルを読めて海の向こうの韓国から来たと言い、行ったことあるの聞かれて「まだ」と答える。
なんでもないやり取りのようだが、このお姉さん、韓国系なのかなとちょっと思った。その彼氏らしい腕っぷしが強くて不良から助けてくれる兄ちゃん(八村倫太郎)もそうなのか、少なくとも恵まれない立場で良い意味でつっぱって生きてきたのかもと思わせる。
恵まれない相手に対する態度に作者の繊細さを見える。

少しラストで余韻を出そうとしてか色々と足し過ぎ。すぱっと少年時代の別れで終わっていいと思うし、せいぜいエンドタイトルのバックくらいに抑えた方が余韻が出たと思う。

尾野真千子と竹原ピストルの両親の組み合わせがいい。
初めて家に招かれた時に襖がすうっと開いて弟妹たちが顔を覗かせるのが可笑しくも可愛い。
いくつかある事故の描写が間接描写なのは演出の方針だろう。