吉田喜重というとATGでの前衛的で難解な作品の印象が強いが、松竹でスター女優である妻の岡田茉莉子をヒロインに据えたメロドラマとして売られたであろうこの一作も実はそれほど違わない。
製作体制としても松竹配給の自主製作に近い(現代映画社製作)。
まずいわゆる映画における一般的な愛といった要素が排除されているあたりは、おそらく当時とするとアントニオーニの「愛の不毛」と同時代的に共鳴していたのだろう。
というか、愛の不毛なんていう当時のキャッチフレーズだと何のことだかわからないものが実際に見るとわかるように出来ている。