prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「グリーン·ナイト」

2022年12月20日 | 映画
アリシア·ヴィキャンデルが主人公サー·ガウェインの婚約者と旅先での領主のお妃の二役を演じていて、これに全然ガウェインが気がつかないあたり、完全にリアリズム無視。

「進撃の巨人」みたいな画面が出てきたのにはいささか驚いた。
また、やはりアーサー王伝説をモチーフにしたカズオ・イシグロの「忘れられた巨人」の忘却というモチーフもかぶっている感じで、緑の騎士を求める旅という直線的な構造からどんどん脱線する。

故郷から離れていくの表現するのに画面上ではもっぱら左から右にいてるように描いていたのだが帰郷する場面でも やはり左から左から右なので違和感を感じていたのだが、案の定単純に行って帰ってくるのではない、一種メビウスの輪のようにねじれた構造になっていた。

動物が口をきいたり、緑の騎士の造形などファンタジー風だけれど、それ以上に音楽=サウンドデザインともどもアート系の感触。かなりわかりにくい。

ガウェイン役のデブ・パテルはロンドン生まれだけれど両親ともにインド系で人種容貌からするといわゆる騎士とは違うが、アーサー王宮廷では円卓に象徴されるように騎士たちは全員平等という理念はあったのだろう。